2021.04.01 up

[今月のRemind 4月編] 気持ち新たに迎える新年度。なぜ4月から始まるの?

進級、進学、就職、転勤・異動など、4月は新生活のスタート。官庁や企業、学校などは4月1日を新年度の始まりとしています。桜の時期でもあり、年度頭の入学式・入社式などは桜の華やかなイメージとセットになっていて、春は物事の始まりにふさわしいと感じる人も多いのではないでしょうか。

 

ところで、新年の始まりは1月であり、多くのカレンダーも1月から始まっているのに、なぜ新年度は4月から始まるのでしょうか。ここでは、そんな新年度にまつわる疑問についてご紹介します。

 

4月のカレンダーはこちら。

[今月のRemind] 4月のカレンダー

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[今月のRemind] 4月のカレンダー

2021.04.01 up

新年度のスタート、4月が始まりました。いよいよ待ちに待った春の到来です。新しい環境で新しい生活が始まる方も多いことでしょ…

新年度のスタート、4月が始まりました。いよいよ待ちに待った春の到来です。新しい環境で新しい生活が始まる方も多いことでしょ…

 

 

そもそも年度って何?

「年度」とは、暦上の1年(1月1日から12月31日)とは別に、特定の目的のために便宜上設定した1年の区切りのことをいいます。主な年度には、以下のような物があります。

 

・会計年度
国や公的機関の年間収支を区分する年度。4月1日から3月31までの1年間

 

・学校年度
教育機関の1学年を区分する年度。世界では9月からが主流だが、日本では4月1日から3月31までの1年間

 

・米穀年度
米穀の取引に関わる年度。米の収穫を基準にしており、11月1日から10月31日までの1年間

 

他にも、いも年度、農薬年度など様々な年度があります。年度にも色んな年度が存在しているのですね。
私たちに馴染みが深い、4月1日から3月31日の年度は、会計年度が一般化されたものです。公的機関の会計年度に民間企業や学校なども合わせるようになり、4月1日始まりの年度が普及していったようです。

 

 

 

なぜ4月が年度の始まりなの?

世間の一般的な年度は会計年度が元になっていますが、なぜ会計年度は4月始まりなのでしょう?

日本は7世紀末期ごろから、旧暦1月から旧暦12月の1年で国の会計を区切っていたとみられています。旧暦1月始まりの会計年度は、その後明治時代まで続きました。

 

しかし、明治時代の間に何度か会計年度は変更されます。

 

・明治2年〜

新米の収穫後に合わせて、旧暦10月から旧暦9月の1年間に

 

・明治6年〜

旧暦(旧暦についてはこちら)から新暦への改暦に合わせて、1月から12月の1年間に

 

・明治8年〜

地租(後の固定資産税)の納期に合わせて、7月から6月の1年間に

 

・明治19年〜

当時の財政赤字の穴埋めのため決算時期が引き延ばされ、酒造税の納期に合わせて、4月から3月の1年間に

 

その後、4月始まりの会計年度は明治22年に会計法により法制化され、現在に至ります。

会計年度がコロコロ変わっていたとはなんとも驚きですが、4月始まりになった理由としては、「イギリスの会計年度に倣って4月始まりにした」という説もあるようです。

 

 

 

学校はどうして4月始まりなの?

私たちが4月始まりに馴染み深いのには、やはり子どものころの学校年度が大きく関わっているのではないでしょうか。では、学校はなぜ4月始まりになったのでしょう。

 

江戸時代の寺子屋や明治時代初期の学校では、入学の時期は一斉ではなくバラバラでした。
子どもたちも農事や家事を担っていたためです。進級も、個人の能力に応じてするようになっていました。入学式もなかったということになりますね。

 

明治5年に一斉入学・一斉進級が原則になりましたが、当初は9月1日始まりでした。その後明治19年に会計年度が4月始まりとなり、学校運営に必要な予算を国から調達するため、国の会計年度に合わせて学校も4月始まりになったようです。

 

 

 

学校年度と4月1日生まれ

誕生日の話題になると「早生まれだから…」なんて言葉をよく耳にしますよね。1月から3月生まれの人を「早生まれ」と呼ぶ習慣がありますが、正確な早生まれは「1月1日から4月1日までに生まれた人」で、4月1日生まれの子どもは、4月2日以降に生まれた子どもより学年が一つ上になります。なぜそのようなことになるのでしょう?

 

小学校入学は「子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」からと定められています。

年齢は暦に従って計算されます。年齢の計算方法を定めた「年齢計算ニ関スル法律」によると「人は誕生日の前日が終了する時(午後12時=24時0分0秒)に一つ年をとる(満年齢に達する)」ということになっています。

 

  4月1日が誕生日の人 →前日の3月31日の午後12時に満6歳に達する
  4月2日が誕生日の人 →前日の4月1日の午後12時に満6歳に達する

 

一方で、学校教育法において、「小学校の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。」と規定されています。これは学校年度のことですね。

 

となると、「子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」は、

 

  4月1日が誕生日の人 →満6歳に達した日(3月31日)の翌日以後における最初の学年の初めは、4月1日
  4月2日が誕生日の人 →満6歳に達した日(4月1日)の翌日以後における最初の学年の初めは、次年度の4月1日

 

となります。要は、3月31日の時点で満6歳に達しているかどうかで学年が決まるということですね。4月1日生まれの人の学年が一つ上になるのは、このような理由だったのです。

 

ちなみに、日本では明治6年まで、年齢の数え方は「数え年」で数えられていました。生まれた時点の年齢を1歳とし、以後1月1日が来るごとにみんな一斉に1歳年をとる、という数え方です。数え年で数えられていた頃は、4月2日以降に生まれた子供は数え年8歳、1月1日から4月1日に生まれた子どもは数え年7歳で小学校に入学していました。

 

年度の中では遅く生まれたにも関わらず、1月1日から4月1日に生まれた人を「早生まれ」と呼ぶのは、この数え年の考え方が由来になっており、1年の中で早い時期に生まれた子どもの方が、早く小学校に入学するからなのだそう。

 

 

 

4月始まりのカレンダーで気分一新

カレンダーの多くは新年の始まりである1月始まりですが、4月始まりのカレンダーも根強い人気があります。この時期は、年末ほどではなくても、4月始まりの様々なカレンダーが店頭に並んでいます。年度の切り替えと同時に新しいカレンダーにすると、気持ちも一新し、やる気も湧いてきます。

住まいを引越しされる方や職場が変わる方は、今まで使っていたカレンダーを引き続き使ってもいいですが、新しいものに変えて心機一転新しいスタートを切るというのもいいかもしれません。

もちろん、うっかり今年のカレンダーを買い忘れていたという方も、このタイミングで4月始まりのカレンダーを購入してもいいですね。

 

 

 

年度の考え方や学校の入学時期、年齢の数え方まで…私たちの生活と暦は密接に関わっています。知らなくてもあまり不便はありませんが、暦を意識して暮らしてみると、一日一日が特別な日に思えて、暮らしがちょっと楽しくなるかもしれませんね。

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