2025.08.01 up
福よ こいこい 縁起物 <8月>
日本には暮らしに根付いた「縁起物」がたくさんあります。
長い歴史の中で人々は、五穀豊穣、長寿、無病息災、商売繁盛、家内安全など、さまざまな願いや祈りを込めて「縁起が良い」とされるものを食し、飾り、身につけ、暮らしてきました。
その思いは今も大切に受け継がれています。
このコーナーでは、毎月季節にちなんだ「縁起物」をご紹介。
招福開運を願って、気軽に暮らしに取り入れてみてくださいね!
8月の縁起物① 扇子
花火や金魚など、夏らしい絵柄が描かれた扇子。
持っているだけで、どこか凛とした風情がただよいますよね。
見た目にも涼しく、日本の夏を感じさせてくれるアイテムです。
扇子は、実は「折りたためるうちわ」として平安時代に日本で生まれたもの。
そんな扇子には「末広(すえひろ)」という別名があるのをご存じですか?
扇子の形は、持ち手から先に向かって広がっていく「末広がり」。
そこには“これから先、運やご縁が末永く広がっていきますように”という繁栄への願いが込められています。
結納品に「寿惠廣(すえひろ)」として扇子が使われるのも、こうした縁起の良さからなんです。
また、扇子で風を送る仕草には、“災いを払って、幸せを呼び込む”という意味も。
昔から、風は邪気を祓い、福を呼ぶ力があるとされてきました。まさに、邪気を遠ざけ、開運を招く縁起物ですね。
最近はハンディファンが主流ですが、たまには昔ながらの扇子を使って、夏の涼しさと日本の風情を味わってみてはいかがでしょうか?
8月の縁起物② 縁日
神社のお祭りといえば、屋台やにぎやかな露店を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
特に夏のお祭りのイメージとともに語られる「縁日(えんにち)」ですが、実はもっと深い意味を持った言葉なんです。
もともと「縁日」とは、神さまや仏さまと特別なご縁がある日のこと。
その日に神社やお寺をお参りすると、普段よりもご利益があるとされ、昔からとても縁起のいい日とされてきました。
多くの人が縁日に集まるようになるにつれて、屋台が立ち並ぶようになり、やがて今のような“お祭り”としてのスタイルが定着していったのだとか。
実は、縁日は一年を通してさまざまな神社やお寺で行われており、決して夏だけの風物詩ではありません。
それぞれの神仏によって縁日の日は異なり、日本には数多くの縁日が存在しています。
最近では本来の意味を忘れられがちな縁日ですが、にぎやかなお祭りとしての縁日もまた、人との縁や季節を楽しむ大切な時間。
それも立派な“ご縁”のひとつかもしれません。
せっかくなら、夏のお出かけのついでに立ち寄った神社でちょっと手を合わせてみませんか?
にぎやかな雰囲気のなかにも、心がすっと落ち着くような特別な時間が待っているかもしれません。
8月の縁起物③ ひょうたん
夏の日差しをたっぷり浴びて、ころんと丸く、ちょっとユニークでかわいらしい形の実をつける「ひょうたん」。
見た目の愛嬌だけでなく、つる性植物で大きな葉がしっかり広がるため、グリーンカーテンとして夏の暑さ対策にも活躍してくれます。
そんなひょうたん、実は昔から“縁起のいい植物”として親しまれてきたことをご存じでしょうか?
古代中国では、覗き込んでも奥が見えないその不思議な形から「中に別世界がある」と考えられ、不老不死の霊力があるとも言われていました。空洞の内部を“母胎”に見立て、子孫繁栄を願う象徴として扱われることもあったそうです。
日本でも、ひょうたんは出世運を高めるラッキーアイテムとして有名です。
戦国武将・豊臣秀吉は、敵地から味方に合図を送る際、ひょうたんをヤリの先に掲げたことがきっかけで、自身の馬印(うまじるし)としてひょうたんを採用しました。
戦に勝つたびに数が増えたことから、「勝ち運を呼ぶ印」として語り継がれています。
さらに、六つのひょうたん=「六瓢(むびょう)」は、「無病」に通じる語呂合わせから、健康長寿や無病息災の縁起物としても親しまれています。
ちなみに、8月8日は“ひょうたんの日”。
形が数字の「8」に似ていることにちなんだ記念日です。夏に実をつける植物でもあるので、季節を楽しむシンボルとしてもぴったりですね。
この夏は、ひょうたんモチーフの雑貨やインテリアなどを身のまわりに取り入れて、実りある毎日を呼び込んでみませんか?
古くから大切にされてきた日本の縁起物。
意識して暮らしに取り入れてみれば、なんでもない一日もちょっぴり楽しくなるかも?
縁起物のある暮らしで、どんどん福を呼び込みましょう♪