2026.06.30 up

暮らしを彩る 日本の色 vol.6 個性豊かな、生き物たちの色

聴き馴染みのあるものから、初めて耳にするようなものまで、日本には多くの色があります。

 

草花や生き物、大地や空、暮らしの道具など、その名は、私たちの暮らしを囲むさまざまなものから生まれています。

長い歴史の中で、人々は色を繊細に見つめ、ひとつひとつの色に美しい呼び名をつけてきました。

 

このコーナーでは、そんな日本の色の中からいくつかをピックアップし、由来別に紹介していきます。

第6回となる今回のテーマは「生き物」。

 

日本の伝統色には、植物に由来するものが多くあります。一方で、生き物をもとに生まれた色名はそれほど多くありません。その中でも鳥に由来するものは比較的多く見られますが、今回は鳥以外の生き物から生まれた色をご紹介します。

 

色の名前を知ることで、毎日が少し色鮮やかに見えてくるかもしれません。

 

 

 

 

狐色

狐色

 

キツネの毛色のような、やや赤みを帯びた黄褐色。
揚げ物や焼き菓子、パンなどが香ばしく美味しそうに焼き上がった様子を表す時にも「きつね色」という言葉が使われます。
色名としては江戸時代から使われており、当時の日本人にとってキツネが身近な存在だったことがうかがえます。
ヨーロッパに比べると動物に由来する色名が少ない日本の中で、長く親しまれてきた数少ない動物由来の色のひとつです。

 

 

 

駱駝色

駱駝色

 

ラクダの毛のような、やわらかい薄茶色。
優しく上品な印象を持つ「キャメルカラー」として、ファッションやインテリアにもよく取り入れられています。
ラクダの存在は飛鳥時代には日本に伝わったとされ、その後、江戸時代にはオランダから生きたラクダが渡来し、珍しい動物として話題になりました。
色名としての「駱駝色」も、近世以降に広まったといわれています。
あたたかみのある落ち着いた色合いで、思わず身につけたくなる魅力を感じます。

 

 

 

象牙色

象牙色

 

象牙のような、淡いクリーム色。

白に少し灰みと黄みを加えたような色合いで、軽やかで上品な印象を持ちます。

象牙は奈良時代にはすでに日本へ伝わっており、古くから工芸品や装飾品などに使われてきましたが、現在は象牙の取引は規制されています。

色名としての「象牙色」は、英語の「アイボリー」の訳として明治以降に広まったとされ、今もやわらかな白を表す色名として受け継がれています。

 

 

 

玉虫色

玉虫色

 

タマムシの羽のような、青みを帯びた深い緑色。「虫襖(むしあお)」や「夏虫色」も同じ色を指すと言われています。

実際のタマムシの羽は、光の当たり方や見る角度によって、緑や紫にも見える不思議な輝きを持っています。

さまざまな色に変化して見えることから、見方によってどうとでも解釈できる曖昧な表現としても玉虫色という言葉が使われるようになりました。

数少ない“虫に由来する色”の中でも、玉虫色は広く知られている色のひとつです。

 

 

 

肌色

肌色

 

日本人の肌の色のような、淡く黄みを帯びた赤色。

平均的な日本人の肌色よりも少し明るく、やわらかな印象を持つ色です。

古くから身近な色として使われてきましたが、現在では多様な肌の色を表現するため、クレヨンなどでは「肌色」という名称は使わず、「うすだいだい」や「ペールオレンジ」などの呼び方に変わっています。

肌色より少し濃い「人色」などの関連色もあり、どちらも血の通ったぬくもりを感じさせます。

 

 

 

 


 

いかがでしたか。

今回は、生き物に由来する色の名前をご紹介しました。

キツネやラクダ、タマムシなど、それぞれの姿から生まれた色には、生き物への親しみや自然を観察する日本人の豊かな感性が感じられます。

身近な生き物たちに目を向けると、思いがけない美しい色が見つかるかもしれません。

 

<参考>

「色の名前と言葉の辞典888」(東京書籍)

「日本の伝統色」(ピエ・ブックス)

「和の色手帖」(グラフィック社)

「新版 色の手帖」(小学館)

「日本の色図鑑」(マイルスタッフ)

「色の名前」(角川書店)

 

※掲載している色は、モニタ画面上での表示をもとにした目安です。表示環境によって、実際の色味とは異なる場合があります。

 

 

 

カレンダーで日本の色を楽しもう!

 

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