2026.07.31 up

暮らしを彩る 日本の色 vol.7 豊かな実りの、おいしい色

聴き馴染みのあるものから、初めて耳にするようなものまで、日本には多くの色があります。

 

草花や生き物、大地や空、暮らしの道具など、その名は、私たちの暮らしを囲むさまざまなものから生まれています。

長い歴史の中で、人々は色を繊細に見つめ、ひとつひとつの色に美しい呼び名をつけてきました。

 

このコーナーでは、そんな日本の色の中からいくつかをピックアップし、由来別に紹介していきます。

第7回となる今回のテーマは「食べ物の色」。

 

日本の伝統色には身近な食べ物から名付けられた色もあります。今回はその前編として、茄子や蜜柑、栗など、おいしい植物の実に由来する色を取り上げます。

 

色の名前を知ることで、毎日が少し色鮮やかに見えてくるかもしれません。

 

 

 

 

茄子紺

茄子紺

 

ナスの実のような、濃く深みのある紫色。

夏野菜の代表格でもあるナスの、つややかな表皮に由来しています。

江戸時代、「紫根(しこん)」と呼ばれる染め色がナスの実の色に似ていたことから、「茄子紺」という色名が定着しました。

大正時代には着物や小物などの流行色にもなり、長く愛されてきた色のひとつです。

 

 

 

小豆色

小豆色

 

小豆の実のような、こっくりとしたくすみのある赤色。

小豆は古事記や日本書紀にも登場するほど古くから日本人に親しまれてきた食べ物ですが、色名として使われるようになったのは江戸時代。明治から大正にかけては、着物の表地などにも多く用いられました。

古くから赤は魔除けや厄除け、祝いの色とされ、小豆も赤飯やおはぎなど縁起の良い食べ物として大切にされてきました。

どこか温もりを感じる色合いに、日本人の暮らしや願いが重なります。

 

 

 

檸檬色

檸檬色

 

熟したレモンの果皮のような、ほんのり緑みを帯びた鮮やかな黄色。

みずみずしく爽やかな印象を与える、明るく軽やかな色です。

レモンは明治初期に外国人によって日本へ持ち込まれたとされます。「檸檬色」という色名も、19世紀にヨーロッパで生まれた絵の具「クロムレモン」の訳語として広まりました。

フレッシュな彩りに、気持ちが明るくなるようです。

 

 

 

玉蜀黍色

玉蜀黍色

 

とうもろこしの実のような、あたたかみのあるやわらかな黄色。

穏やかに赤みを帯びた、やさしい色合いです。

とうもろこしは安土桃山時代にポルトガル人によって日本へ伝わり、「もろこし色」とも呼ばれ江戸時代に流行した色とされています。

太陽の光をたっぷり浴びて実った美味しそうな色合いに、豊かな実りとぬくもりが感じられます。

 

 

 

栗色

栗色

 

栗の実のような、赤みのある深い茶色。
やわらかく落ち着いた色合いは、髪色の表現としてもよく使われています。
栗は有史以前から日本人に親しまれてきた食べ物で、平安時代には「落栗色」と呼ばれていました。
当時は現在よりも濃いえんじ色を指していましたが、江戸時代の奢侈禁止令(しゃしきんしれい:贅沢を禁止して倹約を推奨する法令)の影響を受け、次第に今のような落ち着いた色へと変化したといわれています。

 

 

 

蜜柑色

蜜柑色

 

甘く熟したみかんの果皮のような、鮮やかなオレンジ色。

一般的な品種である「温州みかん」が広く親しまれるようになった明治時代に生まれた、比較的新しい色名です。

あたたかみのあるビタミンカラーとして、暮らしに明るい彩りを添えてくれます。

眺めているだけで、心まで元気になれそうです。

 

 

 


 

いかがでしたか。

今回は、食べ物の中でも、植物の実に由来する色の名前をご紹介しました。
小豆や蜜柑、栗など、身近な食べ物から生まれた色には、体も心も元気にしてくれるパワーがあるような気がします。
身近な食べ物に宿る色にも目を向けながら、日本の色の奥深さを楽しんでみてください。

 

<参考>

「色の名前と言葉の辞典888」(東京書籍)

「日本の伝統色」(ピエ・ブックス)

「和の色手帖」(グラフィック社)

「新版 色の手帖」(小学館)

「日本の色図鑑」(マイルスタッフ)

「色の名前」(角川書店)

 

※掲載している色は、モニタ画面上での表示をもとにした目安です。表示環境によって、実際の色味とは異なる場合があります。

 

 

 

カレンダーで日本の色を楽しもう!

 

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