2022.02.08 up

2月が短いのはなぜ?閏日はなぜ4年に一回なの?2月の暦の疑問に迫る![親子のための今月のRemind]

普段、当たり前に使っているカレンダー。2月はちょっと他の月と違います。

そういうものだとして気にせずに過ごしている方も多いかもしれませんが、もし子どもに質問されたらできる限りちゃんと答えてあげたいですよね。

 

2月のカレンダーを見ていて疑問に思うのは、おそらくこの2点ではないでしょうか。

 

「29日はどうして4年に一回なんだろう?」

「どうして、他の月は30日か31日なのに、2月だけ28日と短いのだろう?」

 

今回はこの2つの疑問に迫ります!数字がたくさん出てきますが、ついてきてくださいね!

 

 

 

 

まずはおさらい!3つの暦

 

暦は、大きく3つに分類されます。

 

1つ目は、「太陰暦」。

月の満ち欠けの周期を1ヶ月(29.5日)とし、12ヶ月(約354日)で1年としていましたが、地球が太陽の周りを一周する実際の1年(約365日)と比べ約11日短く、使い続けていくうちに、暦と季節にズレが生じてしまいました。

 

農耕民族にとって、暦と季節がズレてしまうことは大問題でした。いつ種を撒くのか、いつ収穫できるのかなどが把握できなくなるからです。

そこで、このズレを解消するためにできたのが、2つ目の「太陰太陽暦」。月の満ち欠けを元にした「太陰暦」に、太陽の運行による季節を組み合わせたものです。

 

太陰暦で発生してしまうズレを解消するために、「閏(うるう)月」という1ヶ月を作り、1年を13ヶ月とする年(閏年)を設けていました。19年に7回の閏月を入れることでズレを調整していました。

日本が使用していたのは、中国から伝わった太陰太陽暦。正しく季節を知るために二十四節気が採用されているのが特徴でした。明治6年の改暦まで長く使用され、日本においては旧暦と呼ばれています。

 

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3つ目は、「太陽暦」。地球が太陽の周りを1周する日数を基準にした暦のことです。暦と季節が一致するようになっており、ズレは大幅に改善されています。今では世界標準となっており、今の日本が採用しているのも太陽暦になります。

 

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閏日って何?なぜ閏年は4年に一回なの?

暦は、前述したように、1年という暦日と季節とのズレを無くすよう進化を遂げてきました。

 

ズレを解消するために、特別に月や日を暦に挿入することを「閏(うるう)」と言い、閏月や閏日が設けられている年を「閏年」といいます。

 

太陰暦では19年に7回の「閏月」があり、「閏年」は1年が13ヶ月になっていました。私たちが今使っている太陽暦では、4年に1回の「閏日」があり、「閏年」は1年が366日になります。

 

では閏日はなぜ4年に一回なのでしょうか?実は、厳密には「4年に1回」ではないのです。どういうことなのか、この謎に迫ります!

 

 

なぜズレが生じるの?

太陰暦と太陰太陽暦は、そもそも月の満ち欠けが基準になっているので、太陽の動きを元にした季節とのズレが生じるのは納得です。

では太陽暦は、太陽の動きを元にしているのに、なぜズレが生じてしまうのでしょう?

 

私たちが普段「1年」と言っているのは、1月1日〜12月31日までの暦上の1年で、365日もしくは366日。ところが、実際に地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間(=太陽年)は365.2422日。

 

季節とのズレはここで生じているのです。

 

ここがポイント!

1太陽年は365.2422日

この端数をどう処理するかが、暦においては大切だった訳ですね。

 

太陽暦には時代や地域で様々なものがありますが、有名なものに「ユリウス暦」と「グレゴリオ暦」というものがあります。

 

 

 

ユリウス暦

ユリウス暦ができる前の古代ローマでは、太陰太陽暦に似たヌマ暦が使われていましたが、ユリウス・カエサルが終身独裁官となった時代には、季節と暦が3ヶ月もズレてしまっていました。

そこでユリウスは暦法の改革に取り組み、当時エジプトで使用されていた太陽暦を採用し、4年に一度の閏日を設け、1年の平均を365.25日とするユリウス暦を制定したのです。

 

太陽年の一年は365.2422日なので、暦とのズレは1年で約11分14秒と、かなり少なくなりました。

 

ユリウス暦

 

グレゴリオ暦

太陽暦を採用し季節とのズレを少なくしたユリウス暦ですが、128年経つとズレは1日に達します。そのため16世紀になると、積み重なったズレは10日ほどになってしまっていました。

 

そこで生まれたのが、グレゴリウス13世が1582年に制定したグレゴリオ暦。ユリウス暦の閏日の入れ方(置閏法といいます)に改良を加えたのです。

 

それは、4年に1回の閏日のうち、400年に3回は省略するというもの。100で割り切れても400で割り切れない年は閏日を設けません。これによって、1年の平均は365.2425日となり、太陽年とのズレはごくわずかとなりました。

 

今の日本は、このグレゴリオ暦を採用しています。ということは、日本においても400年に3回は省略されるということ。

 

てっきり、4年に1回だと思い込んでいましたが、厳密には違っていたとは驚きです。

 

グレゴリオ暦

 

以上が、4年に1回(厳密にはそこから400年に3回を省略)閏日が設けられている理由です。

季節と暦とのズレが、4年をかけてほぼ1日分になるということですね。

 

 

どうして2月だけ短いの?

ではなぜ、閏日は2月なのでしょう。そもそも2月だけが短い理由もまだよくわかりませんよね。

 

ここからは、その理由について説明します。

 

前述した通り、それまで使用されていたヌマ暦を太陽暦に変更し、季節とのズレを少なくしたのがユリウス暦でした。

もともとローマの新年は3月で、ヌマ暦においても新年のスタートは3月でしたが、執政官の就任が暦年よりも2ヶ月早い1月からだったため、ユリウスはそれに合わせて新年を1月からとしたと言われています。

 

しかし、もともとは3月が年の始めだったため、その名残で、1年の最後だった2月にズレを調整するための閏日を設けることになったのです。

 

では、なぜ2月だけが28日と短いのでしょうか。

 

ヌマ暦の頃は偶数は不吉とされていたので、1ヶ月は29日または31日と奇数でした。

1年は355日だったので、最終月の2月のみ偶数の28日として調整していたのです。

 

ユリウス暦になると1年は365日となり、1ヶ月は30日または31日に。2月は最終月だった名残でそのまま調整に使われ、一旦29日となります(閏年は30日)。

 

しかしその後、皇帝となったアウグストゥスが、自分の生まれた月に自分の名前をつけ(Augustus:8月)、8月を1日増やしてしまいました。その分の1日が2月から減らされ、最終的に2月は28日となります(閏年は29日)。それがそのままグレゴリオ暦に引き継がれ、現在に至るというわけなのです。

 

なぜ2月だけ短いの?なぜ閏日は2月なの?

 

 

 

 

さいごに

 

2月が短いのはなぜ?閏日はなぜ4年に一回なの?2月の暦の疑問に迫る!

 

今回は2月のカレンダーの疑問について、深堀りしてみました。

 

ちょっとややこしいですが、暦の奥深さを垣間見ることができたかもしれませんね。

ただちょっと難しいのが、子どもに説明する時。

 

「春夏秋冬の季節とカレンダーは本当はぴったりではなくてズレることがあるから、4年に1回だけ1日足すんだよ」

「むかーしむかしのカレンダーは、1年は3月から始まって2月に終わったから、最後の月の2月を、季節とぴったり合うように増やしたり減らしたりしたんだよ」

「むかーしむかしのえらい人が、自分の生まれた月を1日増やしちゃったから、最後の月の2月が1日少なくなっちゃったんだよ」

 

実際に子どもから質問されましたが、当スタッフはこう言うのが精一杯でした。

ここは、大人の説明スキルが問われる気がしますね…

 

子どもにはちょっと難しい内容かもしれませんが、子どもが暦に興味を持ってくれるのはいいことです。すぐには理解できなくても、これをきっかけに暦への興味をどんどん広げていって欲しいですね。

 

(参考)

『旧暦読本ー日本の暮らしを愉しむ「こよみ」の知恵』創元社 岡田芳朗著

『図説 江戸の暮らしを支えた先人の知恵!日本の暦と和算』青春出版社 中村士監修

『空と月と暦 天文学の身近な話題』丸善出版 米山忠興著

『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 2月のまき』小峰書店 かこさとし文・絵

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