2025.05.01 up

福よ こいこい 縁起物 <5月>

日本には暮らしに根付いた「縁起物」がたくさんあります。

 

長い歴史の中で人々は、五穀豊穣、長寿、無病息災、商売繁盛、家内安全など、さまざまな願いや祈りを込めて「縁起が良い」とされるものを食し、飾り、身につけ、暮らしてきました。

その思いは今も大切に受け継がれています。

 

このコーナーでは、毎月季節にちなんだ「縁起物」をご紹介。

招福開運を願って、気軽に暮らしに取り入れてみてくださいね!

 

 

 

 

5月の縁起物① 柏餅

 

柏餅

 

5月5日は、端午の節句。

五月人形や鯉のぼりを飾って菖蒲湯を楽しみ、男の子の健やかな成長を祈る年中行事です。

 

端午の節句にいただく食べ物の一つに、「柏餅」があります。

餡子の入ったお餅を大きな柏の葉で包んだお供えものです。

 

稲作信仰の日本において、お餅はもともと特別で神聖な食べ物。

それを柏の葉で包むことには、どのような意味があるのでしょうか?

 

柏餅を食べるならわしは江戸時代からと言われています。

柏の葉は秋になって枯れてしまっても、春に新芽が出て育つまで散らずに冬を越します。

その様子から、親から子へと代が途切れない子孫繁栄、家系存続の象徴となりました。

江戸時代に関東で特に喜ばれており、江戸中期には、端午の節句にお供えする習慣が定着しました。

 

また、柏は古来から神聖な木とされ、柏の葉は神饌(米や酒、魚など飲食物のお供物のこと)を盛る器でもありました。

神聖なお餅を包むため、神聖な葉が選ばれていたのかもしれませんね。

 

4月末から5月初旬は和菓子屋さんやスーパーにもたくさん並んでおり、気軽に買えるのも嬉しいところ。

ぜひ家族みんなで、男の子の成長を願っていただきましょう。

込められた意味を知って歴史に思いを馳せながらいただくと、子どもたちにとっても記憶に残る、いい食育体験になるかもしれません。

 

 

 

 

5月の縁起物② 鯉のぼり

 

鯉のぼり

 

柏餅と同様、端午の節句には欠かせない鯉のぼり。

清々しい青空を気持ち良さげに泳ぐ鯉のぼりは、風薫る季節の風物詩にもなっています。

 

激流の滝をのぼりきった鯉が龍に変化したという中国の故事から、鯉は立身出世の縁起物。

江戸時代の武家は門前に家紋の入った幟(のぼり)を立てて男児の誕生を知らせていたのに対し、町人たちは鯉を描いた幟を立て、男児の誕生をお祝いし、立身出世を願っていました。

それが進化したのが、現代の鯉のぼりです。

五色の吹き流しには、川をのぼる間に龍に食べられないように、という魔除けの意味もあるのだとか。

 

鎧や兜などの屋内に飾る五月人形を「内飾り」というのに対して、屋外に飾る鯉のぼりは「外飾り」と呼ばれます。

昨今は住宅事情から大きな鯉のぼりは立てないという家庭も多いかもしれませんが、

室内用の鯉のぼり飾りや洋風のインテリアに馴染むおしゃれなものも販売されていますし、

保育園や幼稚園などで手作りの可愛らしい鯉のぼりを作って持ち帰ることもあると思います。

どんな形であっても、親が子を思う気持ちは同じです。おうちに飾れば、きっと子どもたちも笑顔になりますよ。

 

鯉のぼり

 

また、地域のイベントなどで鯉のぼりが飾られているスポットも各地にありますので、連休を利用してぜひ訪れてみてください。

 

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5月の縁起物③ カエル

 

カエル

 

季節をこまやかに表現する七十二候。

5月5日ごろから始まるのが「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」です。

「かわず」とはカエルの古称で、田んぼや水辺でカエルが鳴き始める頃を意味します。

 

七十二候について、詳しくはこちらをチェック!

 

5月になり田植えの時期を迎えると、各地の田んぼに水が張られます。

すると待ってましたとばかりに、あちこちで始まるカエルの大合唱。

これは繁殖期の求愛のためだとか。

ちょうど二十四節気の「立夏」を迎える頃でもあり、夏の始まりを感じさせます。

 

さて、そんなカエルですが、

「無事に帰る」

「お金が返る」

「若返る」

などなど、その名前が由来となり、交通安全や金運上昇などいろんな祈りが込められた縁起物として大人気。

 

カエルは古来、田の神様や水神の使者だと考えられていました。

「カエルが鳴くと雨が降る」という観天望気(かんてんぼうき:天気のことわざ)があるように、昔からカエルには雨を予知する力があると信じられてきました。

蛙石と呼ばれる、カエルを形どった石に雨乞いをする習慣もあったといいます。

 

本物のカエルはどうしても苦手…という人は、愛らしくキャラクター化されたカエルのグッズを取り入れてみてはいかがでしょう。小物やキーホルダーなどは、身につけやすくていいですね。

無事に帰ってきて欲しい大切な人に贈るのもおすすめです。

 


 

古くから大切にされてきた日本の縁起物。

意識して暮らしに取り入れてみれば、なんでもない一日もちょっぴり楽しくなるかも?

 

縁起物のある暮らしで、どんどん福を呼び込みましょう♪

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