2022.03.22 up

当たる?当たらない?春の天気を予測する言い伝え[親子のための今月のRemind]

春分の日も過ぎ、寒くて暗い冬が明け、いよいよ光と温かさに包まれる春の到来です。

 

ピクニックやキャンプ、BBQなど、子どもたちと一緒にアウトドアを思いっきり楽しめる季節でもありますね。

そんな時に気になるのは、やっぱり天気。思いっきりアウトドアを楽しむためには、できればいい天気であって欲しいものです。

 

精度の高い予報はちゃんとした天気予報にお任せするとして、ここでは、ちょっと気になる春の天気にまつわる言い伝えを紹介します。

 

外に出て春独特の空模様や生き物の様子を肌で感じながら、「もしかしたら明日は晴れるのかも?」「もうすぐ雨が降るかも?」と子どもたちと一緒に予想してみるのも楽しいかもしれませんね。

 

 

 

 

天気にまつわる言い伝え「観天望気」って?

 

「朧月なら翌日は雨」といった、天気にまつわる古い言い伝えやことわざのことを、観天望気(かんてんぼうき)や天気俚諺(てんきりげん)と言います。

 

観天望気は、本来は雲や風、空の状態から天気の変化を予測することを言いますが、広義では、天気の変化を結果の事象と結びつけた古い言い伝えやことわざなども含み、観天望気と天気俚諺は同じような意味で使われることが多いようです。

 

今のように天気を予測する技術がなかった時代は、様々な現象を観察して天気を予測していました。天気はその年の農作物の出来に大きく影響しますし、気象災害は命にも関わります。そこで先人たちは、目で見て肌で感じて、様々な事象から天気を予測し、それを次の世代次の世代へと言い伝えることで、暮らしを守ってきたのです。

 

空や雲、気温など自然現象によって予測するものから、動物の動きや仕草、家の状態、人体の状態などから予測するものまで幅広く存在し、地域性も多く見られます。

 

観天望気や天気俚諺には科学的根拠はない迷信と言われるものもありますが、言い伝えを通して昔の人々の暮らしをほんの少し垣間見ることができ、興味深いですよね。

 

「朧月なら翌日は雨」については、こちらもチェック!

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2021.03.26 up

天気予報などで朧月(おぼろづき)や朧月夜(おぼろづきよ)という言葉を耳にするこの季節。朧月は、春特有の気候で起こる霧や靄…

天気予報などで朧月(おぼろづき)や朧月夜(おぼろづきよ)という言葉を耳にするこの季節。朧月は、春特有の気候で起こる霧や靄…

 

 

 

 

春の天気にまつわる言い伝え・ことわざ

 

ツバメが低く飛べば雨ちかし

 

では、3月〜5月の春にちなんだ言い伝えやことわざをいくつかご紹介します。

 

朝霞は晴(朝霧は晴)

春の空はよく霞みます。春になり暖かくなると、植物の水分が蒸散するなどの理由で大気中の水分が増え、気温の低下などによって微粒子状となった水分は、太陽光を散乱させて目に見える状態になり、それによって景色が霞むのです。朝に霞むのは、高気圧に覆われて夜間を通じて快晴だった時なので、少なくともその日は晴天になることが多いのだそう。

 

 

朝茶がうまいと天気がよい

お茶のおいしさと天気にどんな関係が?と思うかもしれませんが、乾燥している朝は喉が乾いていてお茶がおいしく飲め、夏の暑い朝よりも少し冷え込む春や秋の朝茶の方がおいしく感じるということなのだとか。

乾燥し、気温が低い朝は、日本が大陸からの高気圧や移動性高気圧に覆われた時。夜間放射量が多くなり、朝が冷え込むのです。少なくともその日は晴天が見込めるのだそう。

 

 

ヒバリが高く昇ると晴

春を告げる鳥として有名なヒバリ。そのさえずりは春の風物詩で、春の季語にもなっています。通常ヒバリは100メートルくらいに昇ると言われていますが、空気の乾燥具合で鳴き声の聞こえ方が違います。空気中の水蒸気量が多いと音が伝わりにくく、ヒバリが遠いところで鳴いているように聞こえるのです。このような時は大陸からの移動性高気圧に覆われた時なので、その日とその翌日は晴れることが多いそう。

 

 

スズメが水を浴びると晴

雨上がりの水溜りでスズメが水浴びをしているのを見かけることがありますが、雨が降っている間には見かけない光景です。春には低気圧が通る時に雨が降り、通りすぎると移動性高気圧が来て晴れになるので、このように言われるようになったのだとか。スズメは昔から人間にとっても身近な鳥。スズメの動作がことわざになることは多いそうです。

 

 

阿蘇の煙、西になびけば雨となり、南になびけば好天となる

こちらは熊本のことわざですね。

低気圧や移動性高気圧は西から東へ移動するものが多く、この移動によって天気は変化します。低気圧が近づくとその前面では東寄りの風が吹いて阿蘇の煙は西になびき、低気圧が通過すると北寄りの風が拭いて阿蘇の煙は南になびいて天気が回復し、晴れになるのだとか。実際に検証した結果によると、的中する確率は80〜90%なんだそうですよ!

 

 

桜の白花多く咲く年は豊作

桜の花の色に影響する色素の生成には、開花時期の日光と気温が大きく影響します。曇天や雨天が多く日照が少ないと、花の色は白っぽくなりがち。曇天雨天が多いと朝はあまり冷え込まず、こうした年には稲苗などの農作物が霜害をあまり受けないので、その結果豊作となることが多かったのだそう。

 

 

ツバメが低く飛べば雨ちかし

ツバメは4月上旬に南の国からやってくる渡り鳥。地面近くを低く飛び交う姿を見かけますが、これは餌となる昆虫を飛びながら捕まえるため。低気圧が近づくと気温や湿度が上がり、餌となる昆虫が多く発生するようになるので、餌を求めてツバメが低く飛ぶようになります。ツバメの低空飛行は低気圧が接近し、雨が近づいている合図なのですね。

 

 

櫛(くし)が通りにくい時は雨の前兆

これは皆さんも生活の中で実感することがあるのではないでしょうか。毛髪は湿度の影響を受けやすく、湿度が高いと伸びてうねり、乾燥すると縮む傾向があります。低気圧が近づくと、暖かい湿った空気が吹き込み、髪の毛もうねって櫛が通りにくくなります。そしてやがて雨になる、ということですね。毛髪は湿度計として実際に使われているのだそう。

 

 

四月雷は日照りのもと

四月雷とは、旧暦の四月の雷のこと。新暦だと五月にあたります。この四月雷が多く発生する年は、太平洋の高気圧が例年より早く発達し、梅雨前線が日本列島の北に押しやられてしまい、梅雨の時期にあまり雨が降らないのだそう。昔は貯水施設なども無かったため、日照りによる農作物の干害は死活問題だったようです。

 

 

 

 

さいごに

スマホ1台あれば、かなり高精度の天気予報をすぐに知ることができる現代。

 

住環境も進歩し、季節を感じ取りにくくなっている今の暮らしに比べ、昔はもっと物事の変化を繊細に捉えていたのではないでしょうか。そう思うと、昔ながらの経験則もあなどれません。

 

天気予報も観天望気もうまく活用しながら、天気のいい日には春のアウトドアをめいっぱい楽しんでくださいね!

 

(参考)

『天気予知ことわざ辞典』東京堂出版 大後美保編

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